柳川に行って

鰻を食べ、水路の傍に游び、北原白秋の詩碑を叩く雨を見た。いずれ菖蒲か杜若、端正なクレマチス、つぼみの蓮などよろしかった。
宮柊二の歌碑を見たいと探し歩いたが、当てずじまい。柳川市のHPによれば、刻まれた歌は

往還に白き埃の立ちながれ あな恋ほしかも白秋先生

であるという。柊二が師匠・白秋の故郷である柳川に来て詠んだ「柳河」という一連中のもので、『日本挽歌』に収められている。個人的には、上の歌よりは、一連の最後にある

との曇る空に枝張る楝(せんだん)の梢(うれ)しづけきを道に仰ぎつ

の方が素晴らしいと思う。釈迢空の「鹿児島」の最後、「額のうへに…」に着想を得たのかも、などと妄想するが、たぶん大間違いだろう。
歌は麻雀と似ている。三色同順と断幺を比べるのがある地点から無意味なのと同じくらい、上の2つを比べるのも意味がない。大まかな連なりの中の一つのアガリや歌があり、大きな連なりはもう少し大きな連なりの中に答えをやすらっている…おっと、これ以上やるとトー○サキ麻雀教室になってしまう。くわばらくわばら。