『雀鬼医者』(画・鳴島生+シナリオ・三木天平+麻雀監修・青柳賢治、昭和52年)

雀鬼医者

あらすじ

とある田舎町で診療所を営む室田甲丙は、周りからは釣り好きの野暮天と見られていた。しかし彼には、週末ごとに都会に行き、裏プロ稼業で凄腕を振るう「乱鬼龍」という別の顔があったのだ。そんな彼の前に、同じく雀ゴロであった父親の仇が現れ…

意外と読める (10点満点で☆☆☆☆)

地雷(足を踏み入れてはいけない)系の作品と聞いていたが、構成がしっかりしていて、意外と読める。シナリオの三木天平をネットで調べても、この作品以外にはクレジットがないが、経験を積んだシナリオライターの変名だろうか。
闘牌はご都合主義の部分が2、3箇所見られるが、敵のイカサマを見破る=勝利、という図式は一貫しており、分かりやすい。麻雀監修の青柳賢治は麻雀新撰組の一員、さすがと言うべきか。
昼行灯だが夜はダンディ、という対比の演出については、好き嫌いが分かれるところ。襖を開けたら、芸者が3人裸で三つ指ついて待っていたとか、女に「一度ほめりゃあ すぐ同じメニューか」とダメだしするとか、色々と溜息をつきたくなるシーンもあるが、個人的には愛嬌の範囲内。
この時代を考えると、水準以上に仕上がっており、鳴島生の器用さもプラスに出ている。歴史のマイルストーンとして、見かけたら買っておいても損はない。